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「球団とスポンサー」という関係を超え、堺が抱える課題解決を共に目指す

堺シュライクス
「球団とスポンサー」という関係を超え、堺が抱える課題解決を共に目指す
「堺シュライクス」はプロ野球独立リーグの関西独立リーグに加盟する、大阪堺発のプロ野球球団です。
「選手が夢を実現し、夢を諦められる場所を創る」という球団理念に賛同するスポンサー企業は現在60社を超え、ウマク株式会社もその中の1社です。

本記事では2023年9月に締結したオフィシャルトップスポンサー契約を記念して、堺シュライクス球団オーナーである畑様をお迎えし、弊社代表清水との対談が実現しました。
畑様(以下、敬称略)の代表就任の経緯から、球団理念に込められた想い、さらには球団とスポンサーという立場を越え、今後堺にどう貢献していくか等について、熱く語って頂きました。是非ご覧ください。

堺シュライクスについて簡単にお伺いできますでしょうか

畑氏:「株式会社つくろう堺市民球団」が運営している球団が「堺シュライクス」です。選手が揃い、関西独立リーグに参入したのが2019年シーズンからですね。なので今年で5年目のシーズンになります。僕は球団創設2年目にスタッフとして入団し、3年ほど現場を知ったうえで晴れて今年代表に就任しました。

球団創立時には畑様はいらっしゃらなかったんですね

畑:はい、2019年のリーグ参入時にも自分はまだ球団にはいなくて、東京で普通のサラリーマンをしていました。
清水:そこから何がきっかけで入団に至ったんですか?

入団のきっかけは1件のYahoo!ニュース。堺シュライクスの創設を知り、居ても立っても居られず東京を飛び出し大阪へ。

畑:たまたま僕が1件のYahoo!ニュースを読んだことがきっかけです。そのニュースというのが堺シュライクスの創設についてのもので、記事に書かれていた監督の大西さんは、自分もプロ野球選手として存在を知ってる人でした。とはいえ当時の自分は東京で働いていましたし、大阪出身でしたが堺には行ったこともなかったので、最初は「へー、こんな球団が大阪にできたんや」ぐらいの気持ちで記事を読んでいました。

でも、そこでシュライクスという球団の存在を知ってから、どんどん興味が膨らんできちゃって。気付けばそのネットニュースからシュライクスの運営会社名を調べて、会社に電話していました。すぐ前オーナーに話が繋がり、そこからはトントン拍子に話が進んで今に至る訳です(笑)

清水:脅威的なスピード感ですね!当初畑さんは純粋に野球が好きだからという想いで入団されたと思うんです。でも今はオーナーになられて見える景色が変わって、入団当時から徐々に目指させるものも変わってきてるんじゃないかなと。実際、そういった感情面での変化はありましたか?

代表取締役/球団代表 畑康裕 氏

球団オーナーとしての気持ちの変化。今は自分の欲より「応援してくださっているスポンサーさんに、ちゃんと結果でお返ししたい」

畑:確かに立場の変化に伴い、考えることは徐々に変わっていきましたね。

僕は元々球団オーナーになることを目指して、シュライクスに入団しました。何故なら僕自身が、小3から大学4年まで野球しかやってこなかったから。

プロを目指していたけど実力が足らず、最終的には怪我をして、消化不良のままプレイヤー人生を終えました。その後は周りに合わせて就職したものの、なんとなくで仕事をこなしてるだけの日々に、ずっとモヤモヤしていたんです。

だからそんな時に球団設立のニュースを見て、「これだ!」と飛びつきました。ニュースを見た当時の僕は29歳で、プレイヤーとしては年齢でダメだとしても、球団オーナーとしてだったら夢だったプロの世界に関われるかもしれないと思ったんです。

清水:なるほど、出発点は純粋にプロ野球への憧れだったんですね。

畑:はい、でもそんな想いで入団した矢先にコロナがはじまって。資金はなかなか集まらず、自分の「こうしたい」なんて言えない状況でした。でも試行錯誤していく中で、僕の言葉に耳を傾けて下さり、スポンサーとして名乗り出てくださった会社さんが少しずつ増えてきたんです。

だから今は、自分の欲より「応援してくださっているスポンサーさんに、ちゃんと結果でお返ししたい」という気持ちが何よりも強いですね。シュライクスの理念に共感してくださって、形のないものにお金を出して頂いているので。

M-1グランプリから着想を得た球団理念。「選手が夢を実現し、夢を諦められる場所を創る」に込められた2つの想いとは。

多くのスポンサーの胸に響いた、その堺シュライクスの球団理念は一体どういったものなのでしょうか?

畑:「選手が夢を実現し、夢を諦められる場所を創る」がうちの理念です。特に「夢を諦める」という箇所がすごくナイーブに聞こえますよね(笑)  

清水:この理念は、いつ頃に作られたものなのでしょうか?

畑:球団結成時からありました。僕も気になって、前オーナーに由来を聞いてみたことがあるんですよね。そしたら実は、元になったのは日本一の若手漫才師を決める大会「M-1グランプリ(略:M-1)」なんです。M-1は芸人さんがいつか売れると信じて何歳になっても諦めがつかない現状をどうにかしようと、あえて結成年数制限のある賞レースにしたと言われています。若手漫才師に「これでダメだったら諦めるきっかけ」と、分かりやすいターニングポイントを作った訳ですね。シュライクスの球団理念は、まさにそこから来ているそうです。

清水:M-1から着想を得られたものだったんですね。確かにお聞きするとしっくりきます。

畑:実際僕も本当はもう1年野球がしたかったけど、できる場所がなく、なんとなくで就職しました。野球への未練を捨てきれないままモヤモヤした日々を過ごしたので、自分自身がこういう球団でやりたかったな、と心から思うんです。

だからせめて、これからの若い選手に対して、全力でプロを目指して完全燃焼できる場を提供したい。また同時に、ここで叶わなかったらしっかり踏ん切りつけて、次の人生に切り替えるターニングポイントでもありたい。

この2つの想いが、「選手が夢を実現し、夢を諦められる場所を創る」という理念に詰まっています。

清水:僕もその理念を知り、深く共感しています。さっき畑さんが「応援してくださっているスポンサーさんにお返ししたい」と仰っていたと思うんですが、僕の感覚としては応援というより、シュライクスと共に目標を達成していくパートナーでありたい、という思いの方が近いですね。

畑:嬉しいお言葉です!清水さんはお忙しい中でも球場まで応援に来てくださって、すごく近い距離で球団に関わってくださっているので、本当に感謝しています。

清水:スポンサーさんによって様々な関わり方があると思いますが、ウマクとしてはもっと深くシュライクスに根付いていきたいですし、ひいては堺という地域に貢献していきたいと思っています。例えば雇用問題であったり、堺のビジネスを活性化することが1スポンサーとして出来たら素晴らしいですね。

野球に注いできた「1つのことをやり切る」というマインドを、次はどう仕事に切り替えていくか。「雇用」という課題に対して、スポンサーとしてできること。

畑:今ちょうど出た「雇用」というキーワードについて、有り難いことに、多くのスポンサーさんが「選手が引退したら是非うちで雇いたい」と言ってくださっているんですね。シュライクスで野球やってた選手だったらそれだけで信頼できるから、と。

でも、肝心の選手側が、退団を決めても働くことに対して上手く気持ちを向けられていない。

野球に注いできた「1つのことをやり切る」というマインドを、次は仕事に切り替えて、オファーくださっているスポンサーさんのところに就職させて頂く、そんな仕組み作りもしていきたいんです。

清水:非常に難しい問題ですよね。選手たちにとって、人生をかけてやってきたものを、そんな今日明日で急に切り替えられる訳がないのもわかります。

畑:僕も野球に人生を捧げた経験があるからこそ、良かれと思って選手に伝えているんですが、なかなか難しくて。だから最近は入団テストの時点から、「プロ野球選手になれなかった場合のこともちゃんと考えながら、シーズンを戦いなさい」と伝えるようにしているんです。

清水:確かに、畑さんが言い続けることも大事ですが、聞く選手側の気持ちを考えたら球団外部からの声も大事かもしれませんね。

例えば、スポンサーとして僕ができることで思ったのが、仕事についての話を選手の皆さんに関心をもって聞いてもらう時間を作ってみるとか。僕がどんな想いで働き、ウマクという会社を作ったのか、とったような内容ですね。

働くということに対して少しでもポジティブな印象を持ってもらって、将来を考えるきっかけに繋がればいいなと思うんですが、いかがでしょう?

畑:すごくいいと思います!まさに今仰って頂いたようなことを計画中でして。 というのも、2024年の新シーズンから毎月1回スポンサーさんをお招きし、選手達に向けて会社のPRや仕事観についてのお話をして頂けるような場を作りたいと思っているんです。

選手の中には「自分で社長になりたい」と思っている者もいるかもしれないので、例えば会社の成り立ちや社長になられるまでの経緯をお話し頂けたら、すごく刺さるんじゃないかなと。なので是非、ウマクさんもお招きさせてください!

「球団とスポンサー」という関係を超えて、堺が抱える社会課題を共に解決するパートナーでありたい。

清水:雇用以外にも、地域の課題について、球団とスポンサーという関係を超えて一緒に解決していけたら最高ですよね。

シュライクスさんはシュライクスさんが得意とする手段で、ウマクはウマクができる手段で「共創」して解決していく。堺、シュライクス、スポンサーそれぞれで「三方良し」の関係を築いていけると思うんです。その過程をウマクの専門領域と絡めて、デジタルコンテンツとしても発信していければなお良しですね。

畑:素晴らしいですね!今回お話しさせて頂いた内容の他にも、構想を膨らませているものもいくつかあるんです。シュライクスとウマクさんで、互いの持てるリソースを活かしながら解決策を見つけてていきたいですね。是非今後ともスポンサーとして良きご相談相手として、近い距離でお付き合いさせて頂ければ嬉しいです。

是非今後とも地域パートナーとして、共に堺に価値貢献していきましょう!本日は誠にありがとうございました!

ウマクでは、本質的なマーケティング課題と組織的課題に向き合い「人」に寄り添った伴走型のコンサルティングを心がけています。カジュアルに無料相談して頂けるとウマク支援します。