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事例

「わからない」から「自分たちでできる!」へ。受講者に寄り添った研修を提供

栃木県 総合政策部デジタル戦略課
「やり方をコピーするだけの研修ではなく、自ら動けるマインドセット作りを重視してくれました」
関東随一の面積と、緩急ある地形が自然と都市部を近い距離で結ぶ栃木県。
那須御用邸や日光東照宮などの由緒あるランドマークだけでなく、いくつもの強豪プロスポーツチームや、自動車レースで有名なモビリティリゾートもてぎなど近代的な顔も持ち合わせています。
また、日本三大餃子と言われる宇都宮餃子®、とちおとめや新品種のとちあいかといった54年連続生産量日本一のいちごなど、食においても全国区の知名度を誇ります。

一方で、南北東西25に分かれる市町にはまだまだ知られていない特産品があり、そうした特産品などを県外にアピールすることが県として課題でした。
観光誘客やふるさと納税など情報発信のデジタル化が進む中で、県の魅力を広く伝えるため、令和2年度にデジタル施策の推進を図る組織を立ち上げ、令和3年度には外部からCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)を招聘することでマーケティングの手法を効果的に導入しています。

全国でも先進的と言えるこの取り組みの中で、今回、県内の市や町を巻き込んだデジタルマーケティング運用の研修をウマクが担当し、人材育成支援のお手伝いをさせていただきました。
栃木県庁の総合政策部デジタル戦略課においてブランド推進を担う黒﨑氏と三浦氏に、本取り組みとウマクの研修に関してお話をうかがいました。

どのような背景で栃木県がデジタルマーケティングの取り組みを強化することになったのですか?

黒﨑氏:令和2年度にデジタル施策の総合的かつ効果的な推進を図ることを目的に「デジタル戦略室」が立ち上がりました。その中で外部人材を積極的に活用したデジタルマーケティングの推進と人材育成がミッションとなりました。

翌令和3年度に、デジタル戦略室デジタルマーケティング担当と総合政策課とちぎブランド戦略室の統合による「ブランディング推進室」の設置に伴い、デジタル戦略室から「デジタル戦略課」に組織改編され、現在に至ります。

三浦氏:栃木県内には25の市町があり、それぞれがPRしたい特産品を持っています。各市町が自らの特産品をアピールすることが一番望ましいのですが、十分な知識や経験がないところもあります。そこで、外部講師を招いてウェブ上におけるPRのノウハウに関する研修を市町の広報や地場産品振興担当者などに実施することで、特産品の情報発信方法の磨き上げによるブランド力の向上を図ろう、ということになりました。

外部講師へはデジタルマーケティングのやり方の伝授を期待していたのでしょうか?

三浦氏:ブランディング推進室だけでなくデジタル戦略課として重要だと考えているのは、自分たちでマーケティング活動を実施できる体制が市町にあるということです。やり方をコピーすれば今の仕組みやテクノロジーで運用していくことはできますが、将来、仕組みが変わった時に対応できなくなってしまいます。

黒﨑氏:市町がデジタルマーケティングの手法を自ら活用し、情報発信することができたら効果的な魅力の発信となり、これは県のブランド力の向上にも繋がると思います。

ウマク清水:デジタルトランスフォーメーションは仕組みを変えたり、テクノロジーを導入することと思われがちですが、一番重要なのは「人」と「マインドセット」なんです。

まずはマインドセットを転化させることで、テクノロジーや新しい仕組みが活かされますから、お二人の考えに私も心を動かされました。

なるほど。やり方の伝授ではなく、やり方を考えるマインドセットの研修を期待したということですね。

黒﨑氏:はい。栃木県では外部からCMOを招聘しており、デジタルマーケティングの手法の説明だけでなく、自分たちで動けるように思考を鍛えるところまで、参加者にわかりやすい研修を実施できる講師を紹介してほしいとCMOに相談したところ、これ以上ない適任者だと紹介されたのがウマクの清水さんでした。

三浦氏:さらに、事前にオンラインで直接話をする機会を複数回設けてくれたことで、疑問や不安が解消され、安心してお願いすることができたのもよかったです。

総合政策部デジタル戦略課 ブランディング推進室 主査
三浦 大輔 氏(左) と 黒﨑 宏則 氏(右)

県内の12市町が研修へ参加されたとのことですが、どのような内容で実施されたのですか?

三浦氏:清水さんから提案されたのは、座学だけではない実践的なワークショップ形式の研修で、ある程度のまとまった時間をとって実施するという方法でした。

そこで、申し込みのあった12の市町を3回に分けて、1回の研修を2日間にわたって実施することにしました。これを昨年令和4年度に実施しました。

参加された市町の方々から追加研修の要望があったそうですね。

三浦氏:はい。参加した半数の市町から、それぞれが抱える課題に対応したデジタルマーケティングの相談を実施したいと要望を受けました。第一回の研修で得たことをそれぞれの所属に持ち帰り検討したところ、いくつかの課題が出てきたということでした。

清水:課題は市町それぞれ異なるとのことで、マンツーマンの研修を提案させていただきました。第一回の基礎と実践を発展させた「発信方法」と「ファンマーケティング思考」に軸をおいた研修となりました。

実際の研修の様子

研修後どのような変化がありましたか?

黒﨑氏:GoogleアナリティクスやGoogleサーチコンソールを導入した市町があり、参加した市町の担当者の反応の良さに驚かされました。

市町の担当者は専属ではないことがほとんどのため、これまでは特産品のPRを広く実施すること自体に課題がありました。今回の研修により、デジタルマーケティングを活用して自分たちにもできることがあると気付いてもらえたのではないかと考えています。

三浦氏:それぞれの市町が「自分たちでもできる!」を感じてもらうことがゴールの一つでした。今回そのゴールを達成できたと感じています。

情報発信を市町みずからが実施できる仕組みづくりに向けて。

次のステップで何か考えていること&今後もウマクへ相談したいことはありますか?

三浦氏:県としてウェブサイト運用の環境をさらに整備して、研修に参加した市町が自分たちでウェブサイトを編集できるような仕組みを構築したいです。魅力発信ウェブサイトのコンテンツ増加がその一つです。研修で得たことをアウトプットする場を設けたいですね。

ウマク様には、魅力発信ウェブサイトについてもまた御相談してしまうかもしれません。

黒﨑氏:そうですね。この仕組みを属人化させずにフレームワーク化させて活用を広めていきたいです。

栃木の魅力とは?

最後に、栃木県のブランド推進をご担当されるお二人が考える栃木県の魅力を教えていただけますか?

黒﨑氏:栃木県にはプロスポーツチームが複数あり、魅力にあふれるチームばかりです。プロスポーツチームの活躍は、多くの人に夢と感動を与えてくれます。また、日光や那須を始めとした自然の豊かさと、首都圏へのアクセスの良さといった生活の利便性とのバランス、調和がよくとれていることも栃木県の魅力と思っています。

三浦氏:私はデジタル戦略課に配属される前は、栃木県の地場産品振興を担当している部署におり、主に伝統工芸品や日本酒の振興の担当でした。日本酒について説明しますが、栃木の日本酒は日本酒好きの方に人気の銘柄だけでなく、知られざる銘酒がたくさんあることが大きな魅力です。もう一つは、住みやすさだと思います。私は県外出身で、移住して14~5年になりますが、子育てに非常に適した環境だと感じます。コロナ禍の中で、県外になかなか出られないという時期がありましたが、栃木県には子供と楽しめるスポットや比較的大きい公園がたくさんあり、困ることがありませんでした。素朴ではありますが、そういったところが栃木県の魅力と感じています。

栃木県にはさまざまな魅力がありますね。栃木県の色々な特産品に出会えることが楽しみになりました。本日は誠にありがとうございました!

栃木県のマスコットキャラクター「とちまるくん」と一緒に撮影

ウマクでは、本質的なマーケティング課題と組織的課題に向き合い「人」に寄り添った伴走型のコンサルティングを心がけています。カジュアルに無料相談して頂けるとウマク支援します。